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年金は払うべきか否か

 

年金について理解できていなかったので勉強してみました。

このブログを読まれるであろう方は、第二号被保険者(会社員など)が中心なのではないでしょうか。その場合の実質的な負担額は月給の約8.5%(17.120%の半額を会社が負担)です。年収500万の場合、月額約3.5万円、年額42万円(!)に相当します。かなりの負担額です。

なぜ、私たちは年金を支払わなければならないのでしょうか?

 

働き方、暮らし方に応じて変わる公的年金加入

引用元:

日本の公的年金は「2階建て」 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省

 

 

●問い:年金は払うべきか否か

結論から言うと、年金は払うべきです。

  • 理由1:社会保証制度だから(個人の積み立て投資ではない)
    "そもそも公的年金制度は、現役世代が受給世代を扶養する「世代間扶養」の仕組みのもとで運営されている、社会保障制度です。本来、個人や世代の差による損得を論じる性質のものではありません。"

    引用元:世代間格差の正体~若者って本当に損なの? | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省

  • 理由2:未払い者は約5%以下と少数派だから(人数比の問題ではなくて、年金という仕組みがそれなり以上に機能している)
    "公的年金加入対象者全体でみると、約95%の者が保険料を納付。(免除及び納付猶予を含む)" "未納者(注1)は約296万人、未加入者(注2)は約9万人。(公的年金加入対象者の約5%)"
    引用元:平成24年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について

  • 理由3:強制だから(私たちに支払いを選択する権利はない。第二号被保険者は給料から天引きされる。
    "国民年金は、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満のすべての人が強制加入し、老齢・障害・死亡の保険事故に該当したときに基礎年金を支給する公的年金制度である。""納入告知後の保険料や延滞金などの徴収金については、国税徴収法に基づき徴収することと規定され、徴収金を滞納した者に対しては、社会保険庁長官は督促を行い、指定した日(指定期限)までに保険料が納入されないときは滞納処分(差押・換価・充当(配当))を行うことができる。また、この場合には延滞金(年利14.6%)が課せられる。"
    引用元:年金未納問題 - Wikipedia

 

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●全体として、何が問題なのか?

問題は大きく2つ。第一に、少子高齢化が進む日本社会では、現在の年金制度は持続可能な仕組みでないこと。第二に、第一の理由を背景として、第一号被保険者(特に若年世代)において、年金を支払っても十分な見返りが期待できないこと。

しかし、この問題は実は問題にならない。

上記のような問題意識が生じる理由は、年金制度への誤解があることです。年金は自分の将来に備えた投資ではなくて、現在の老齢世代を養うための社会保障制度です。いまの若者が損をする、得をするという点は、そもそも年金制度を運営する視点からするとどうでもいいこと。

自分もその理解が得られるまでは、絶対に損するだけなので支払いたくないと思っていました。でも、年金は日本社会の市民として課される義務の一つなのだと思えば、納得して支払っても良いかなと思えるようになりました。

 

以上をふまえた上で、個人的に問題を感じる点が2つあります。

第一に、年金制度のミッションが全ての人に生活への安心を与えることであるならば、未払い者が受給できない現状は問題がある。加えて、最低限のセーフティネットを与えることが目的なら、高所得者への傾斜支払いは不要だと思います。それなら、そもそも徴収額を下げてくれよって話であって。

第二に、若者から高齢者への所得移転を進める仕組みに違和感を覚えます。直感的に高齢者よりも若者の方が経済的弱者だと感じます。厚生省による2010年度の年齢階級別の所得に関する統計によると、世帯人員1人当たり平均所得金額は「60~69歳で216.3万円」「70歳以上で186.9」である一方で、「29歳以下では163.6万円」です。

引用元:平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

 

したがって、例えば最低限生活に必要な月額8万円などを所得など条件を満たす全ての人に支給すべきだと思います。同時にその他の生活保護等、社会的セーフティーネットを提供する仕組みと統合して一本化することが望ましいです。ポイントは以下二点です。①最低限の生活を全ての人が保証されること、②年齢ではなく、所得に基づいて支払いを行うこと。

 

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●では、一個人としての私たちへの示唆は何か?

年金に対して不満を感じていようが、若年層にとっては損でしかない仕組みであろうが、とにかく年金は支払うべきですし、社会の一員として支払うことが合理的な選択だと示しました。

そのうえで、年金に関して留意すべき点を一つだけ。
今現在、第一号被保険者(自営業者など)である人と、将来的に第二号被保険者(会社員・公務員など)から第一号被保険者になる可能性がある人は、正しく制度と手続きを理解するべきです。控除・免除など使える制度はしっかり活用して、不利益を得ないように義務と責任を果たしましょう。

 

以上、年金制度は合理化すべき点、時代に合わせて改善すべき点はたくさんありつつも、国全体の視点からは仕組みとして悪くないものだと思っています。より良い仕組みになりますように、担当者の方がんばってください!