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知的スキルとは何か

 

大学一年生のおわり、自分は何ができるのだろう、何もできないじゃないか。成果を出すためには何が必要なのか。どのように成果を出したいのか。ずっと、ずっと悩んでいた。そうするうちに、自分は賢くなりたいのだと思うようになった。それからは、「賢いとは何か?」を考え続けた。

 

大学二年生のとき、まさしくロールモデルとして目指したい人生の先輩を二人(Bさんと、Kさん)も見つけられた。Bさんは、仕事のやりかたや姿勢、チームの中での役割、アウトプットの質で目標になった。Kさんは、ビジョンや存在そのものに憧れて、人生の目標になった。目標ができたことで、なんとなーく自分が身につけたい「賢さとは何か?」を定義できるようになった。

 

大学三年生の始めごろ、そんなことを考えていたときに読んだのがこの記事:楠木健(1995)『大学での知的トレーニング:アタマがナマっている人へのメッセージ』http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/12231/1/ronso1130400210.pdf

 

どうすれば賢くなれるのか?というヒントをもらった。コンセプチュアルな知的スキルを自分が貢献できる価値にしたくて、もがいている。執念にちかい。

 

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▼知的スキルは開発可能である

大学での勉強は知的スキルを育成するためのトレーニングである。そして、その成果は目に見えるものである。知的スキルは運動能力と同じで開発可能であり、個人が意図的・継続的に開発していくべきものだ。しかし、はっきりとした目標とプランをもって日常的にトレーニングし続けなければ上達しない。そのためには正しいトレーニングの積み重ねが必要になる。

 

▼知的スキルとは何か?:知的スキルの三階層

知的スキルは階層をなす三種類の異なるスキルで構成されている。
コンセプチュアルスキルを使って問題が設定された後に、テクニカルスキルを使って部分部分での問題解決をしていく。社会・組織の中での問題解決においては、ヒューマンスキルが推進力になる。

①テクニカルスキル
特定の専門分野において固有の知識やテクニックなど手続きに基づいて問題解決するスキル。 あらかじめ設定された特定の問題を解決する能力である。理論をベースとした知識の習得と平行して、知識を使う練習を積み実践的に使えるレベルにする必要がある。

②ヒューマンスキル
人と人がやりとりをするときに必要なスキル。人にものを伝える能力や説得力と言い換えられる。知的な側面での人間的な魅力の源泉になる。

 ③コンセプチュアルスキル

ようするにこれだ!というコンセプトを創造できるスキル。問題の全体像を理解して、そこから本質的な問題を導きだす力と言い換えられる。解くべき問題を発見して設定する能力。

 

 

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▼コンセプチュアルスキルとは何か?:問いを設定する力

物事の部分ではなくて全体を見ることができる。全体を構成する部分間のつながりを理解し、それをパターンをもった全体へとまとめあげられる。その中で、何が本質的に重要なのかをつかみ、優先順位をつけることができる。

コンセプトとは、対象や現象から物事の本質を凝縮して抽出した言葉である。コンセプトは、組織や個人を突き動かす方向性・パワー・ビジョンを含む。
具体的には、何が問題なのかが問題という状況で、いまやるべきことはこれだ!と道筋を明確に打ちだす。なるほどそうだよねと、みんながうなずいて元気が出てくる。それでいくか!と周囲の人々が突き動かされる。それがコンセプトづくりである。

  

▼どのようにコンセプチュアルスキルを鍛えるか?

コンセプチュアルスキルに標準的なトレーニングの方法はない。テクニカルスキルのトレーニングを通じて獲得した知識を使いながら、思考・問題発見・コンセプト作りを試行錯誤するしかない。

土台となるテクニカルスキルがないと、コンセプチュアルスキルは鍛えられない。テクニカルスキルはすべての出発点であり、ある領域でまとまった知的スキルを構築するために必要となる言葉や文法である。特定の専門領域で力をつけた上に、一般性の高い知的基盤ができる。

  

▼専門領域の軸足はどのように決めたら良いか?

知的トレーニングはまず専門分野に軸足をおくことから始まる。自分で軸足を定めてはじめて勉強に目的が生まれ、その成果を自ら体感することができる。よいコーチについて黙々と継続すればすぐに成果は現れる。

専門領域の選択は、客観的な選択というより、主観的な決意や思い込みに近い。素朴な思い込みでもいいから、とりあえず自分で決めてみるしかない。自分の思い込みを信じてみるしかない。そして、一度決めたら全力でトレーニングする。まじめに楽しく取り組んでいれば、結果として自分の力で最高の選択にできる。やってみて、どうしても自分に合わなかったなかったらやめたらいい。

  

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知的スキルのトレーニングは、一生の財産になる知的基盤を獲得するプロセスである。知的スキルに優れた人ほど、社会生活の中でさまざまな経験からコンセプチュアルスキルを磨いていける。明るく楽しくのめりこめるよ!